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Message from the
MANYOSHU展
古代の人々は恋愛や生活など、その土地について歌を詠んできました。今日私たちは日本最古の詩集である「万葉集」に収められた、4500首以上の歌を通して彼らの生き生きとした暮らしぶりを思い起こすことが出来ます。
万葉の庶民の生活は決して楽ではなく、想像以上に辛いものだったと言われています。その辛い暮らしを乗り越えるには、笑いとユーモアが日常に必要不可欠となっていました。だから彼らは言葉でそれを表現することで人の心の憂いや辛さを晴らしていました。 
今回の震災で私たちの心身も大きく揺れ動いたことでしょう。日本はもとより世界中に影響を与えている原発の放射能問題もまだまだ解決がつかず不安な気持ちのまま今日に至っています。そんな厳しい状況を乗り越えるにも、私たちの遠い祖先、万葉人のDNAそして大和の魂がもし受け継がれているとしたなら、私たち一人一人の持つ意識次第で今後の日本のあり方や自分自身の生き方は選択できるように思います。そして、これら地球レベルの問題も必ずや希望を持って克服することが出来るのではないでしょうか。
万葉集もその時代の天皇が国民のしあわせ、国のしあわせを願い歌の力で国をまとめたともいいます。それだけ言葉や歌の力は強いものなのです。今回、この「MANYOSHU展」では万葉集の約7割を占めている「恋の歌」と、詠む人のしあわせを願った短歌22首をクローズアップします。今日の若い人々は、恋愛を「面倒くさい」と言ったり「コンパ」や「婚活」などの言葉を使ったりしていますが、人の愛をこのような言葉で表現してしまうことほど寂しいことはないのではないでしょうか。人を愛することの素晴らしさに気付けばもっとポジティブな気持ちで人生を歩むことができるかも知れません。今日、私たちは将来に不安を抱え、私たちの祖先が日々の暮らしの中で大切にしてきた人生への情熱を失っているようにも思われます。万葉集のページをめくり、毎年春になると思い出す梅の花の香りのように、私たちの意思も永遠であり生きることの大きな喜びと美しさをもっと思い出していけば日本は再び大和魂を世界へ発信できる輝く国になることでしょう。
Photo Akio Nishimoto
 
「大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は煙立ち立つ 海原は 鴎立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島 大和の国は」         巻1.2 舒明天皇
Yamatonihwa murayamaaredo Toriyorofu amanokaguyama 
Noboritachi kunimiwosureba Kuniharawa kemuritatsutatsu 
Unaharawa kamometatsutatsu
Umashikunizo akitsushima Yamatonokuniwa         
vol.1.2 Emperor Jomei

【大和には多くの山があるけれど とりわけ立派な天の香具山 その頂に登って大和の国を見渡せば 土地からはご飯を炊く煙がたくさん立っているよ 池には水鳥たちがたくさん飛び交っているよ ほんとうに美しい国だ この蜻蛉島 大和の国は】

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